考え方・視点 -Way of think-
企業目線の宣伝になっていませんか?求められるは消費者目線のPR
日本は空気を読む文化があるなど言われる事があります。特に対面でのシーンにおいてその場の空気感を察知することを得意とする文化です。
営業力のある企業はこれまで各営業担当の力量に依存した販売手法をメインとしてきた企業もあるでしょう。
しかし、現在では対面で商談を行う機会が減り、あらゆるサービスにおいてインターネットで買い物をする場面が増えました。
実際、対面での営業が必要なビジネスにおいても、ユーザーの意思決定は60%以上がインターネットで済んでいるというデータもあります。この状況下では「空気を読む」という力が発揮される場面が減っています。
意思決定の大半をインターネットで済ませるということは、出会ってからではなく出会う前から適切なコミュニケーションをとる必要性があるということです。
今回はその一つとして「消費者目線を入れたPR」を考えてみましょう。
この記事の目次
消費者目線とは何か
消費者目線に近い言葉で「お客様の声」という言葉があります。
もちろん消費者の目線ですが、お客様の声は実際に商品を購入したりサービスを体験した方の感想なので消費者目線とは似て非なるものです。
明確な定義はありませんが、消費者目線とは「消費者のニーズに応える目線」です。
例えば、車が欲しいと買った人のニーズは本当に「車が欲しい」という事だったのでしょうか。「家族で楽しく気軽に出掛ける手段が欲しい」というニーズだったかも知れません。
きっと商談時には、どんな車をお探しですか?と使用用途など質問をする中で「この人には〇〇がおすすめだな」と空気を読んで気の利いた商談をされると思います。それこそが、まさに消費者目線と言えるでしょう。
つまり、情報がどこでも手軽に手に入るようになった現代、広告宣伝やサイト制作にも同様に取り扱う商品やサービス、貴社が応えられるニーズが何かを考えた目線『消費者目線』を入れたPRが大切になります。
消費者目線を考えるフレームワーク例
それでは、一つ消費者目線を考えるフレームワーク(考える枠組み)である「4C」をご紹介します。
よく似た言葉で「4P」という言葉もありますが、簡単に違いを分けると4Pは企業戦略を考えるもので、4Cは企業戦略が消費者目線でも価値のあるものかを考えるものです。
4P分析
「4P」とは以下の4つの言葉の頭文字を取ったもので、前述したように企業戦略を考える上でベーシックかつ重要なマーケティングのフレームワークです。
- Product(製品)
- Price(価格)
- Place(流通)
- Promotion(プロモーション・販売促進)
非常に重要なフレームワークですが、この4Pを検討しただけでは、消費者とうまくコミュニケーションを取れません。
多くの企業は企業側の都合でこの4Pを検討してしまいます。
「この製品の出来なら売れるだろう!」
「原価はこれだから、販売価格はこれくらいにしようか」
「まずは自社のオンラインショップで販売しよう」
「今までと同じように折込チラシで広告しよう」
…というような会話がなされている場合は「企業側の都合」で考えていると言えるでしょう。
この4Pを検討する際に重要なのが「消費者目線」なのです。
消費者はどのようなことに悩み、どのようなことを価値と捉えているのか、買って欲しい人はこの分野でどれくらいお金を払ってもいいと思っているのか…などなど、4Pを考える前にターゲットとなる消費者についての理解を深めておくことがポイントです。
4C分析とは
「4C」とは以下の4つの言葉の頭文字を取ったもので、前述したように企業戦略がそもそも消費者の立場になったときに価値があるかどうかを検討する際に使用するマーケティングフレームワークです。
- Customer Value(価値)
- Customer Cost(コスト)
- Convenience(利便性)
- Communication(コミュニケーション)
これらすべてを「消費者にとっての」という大前提で考えていくことになります。
Customer Value(価値)
「その商品やサービスが、消費者にどのようなメリット(価値)があるのか」というのが、カスタマーバリューになります。何かを買うときに興味が無いものや価値が感じられない物にお金は出せないですよね。
価値について考えることは値決めとは異なります。何を価値と感じるかは人それぞれであり、普遍のものではありません。価値は後述する残りの3つのCと密接に関連します。
Cost(コスト)
文字通りコストです。その商品の価格、手に入れるまでの労力、時間など全てがコストです。
商品を買ってもらうためには消費者にとって見合ったコストである必要があります。
もちろん価格の高い商品であれば消費者の期待値は上がりますし、モノが溢れた現代においては価格の安い物でもそれなりの価値を感じなければ消費者がお金を支払うことはありません。
例えば1,000円のボールペンと100円のボールペンでは求められている価値の大きさ(期待値)が異なります。100円のボールペンであれば「とりあえず書ければOK」でしょうが、1,000円のボールペンであれば「ちゃんと書ける」のは当然で「持っていることがステータスとなる」などの付加価値が必要となるでしょう。
その人が何を価値と感じるかで、コストに対する考え方も大きく変わります。
4Pから先に検討してしますと、「製品」と「価格」を企業目線で考えがちです。
4Cでは製品にどのような価値をもたせるか?その商品をどれくらいの価格で手に入れることができればより価値を感じてもらえるのか?という視点で検討していきます。
Convenience(利便性)
4Cで言う利便性とは、その商品やサービスが消費者にとって手に入れやすいかどうかを示します。
例えばオンラインショップ・カタログ通販・実店舗のどの手段でも買えるという購入場所の自由さや、現金だけでなく代引き・クレジット決済・銀行振込でも買えるという決済手段の自由さなど、いかに柔軟に買い物ができるかという点が利便性に関わります。
その他にも「待ち時間」や「配送の素早さ」などもも利便性と言えるでしょう。同じ商品であれば少しでも早く手元に届く方が喜ばれます。
これも4Pでは企業目線から「流通」する場所を検討しますが、4Cではターゲットなる消費者はどのように商品を購入することが便利なのかという視点で検討していきます。
Communication(コミュニケーション)
お客様アンケートやSNS、業種業態によっては見学イベントや交流会など、企業と消費者が双方向に情報共有できる状態をつくりだすことがコミュニケーションです。
お客様に書いていただいた口コミに返信することもコミュニケーションのひとつです。コミュニケーションの質が高ければリピーターになってもらいやすかったり、別の商品への購買意欲を高めることがが見込めます。
4Pでは「どのようにプロモーションをするか」「どこに広告を打つか」という議論になりがちですが、4Cでは「どのようなコミュニケーションを取れば消費者は興味をもってくれるか」「興味をもってくれそうな消費者はどのようなメデイアに触れているか」という視点で検討していきます。
いかがでしたでしょうか。
4Pで検討する企業戦略はとても重要なものですが、その大前提として消費者の目線で考えることが重要です。その際、消費者を主語とした「4C」をじっくり考えるころが大切で、この4Cをベースに「4P」に落とし込んでいくことが重要です。
実際にやってみよう
では、具体的なシーンで考えてみましょう。
『旨くて安いトマト入荷!今晩はコレで決まり!』
スーパーに行けばよく見かけるようなメッセージですが、いかにも企業目線でのメッセージです。そもそもトマトを買おう!と決めている人以外には刺さりにくいメッセージではないでしょうか。
では、どのようにすれば消費者目線の入ったPRになるでしょうか。
ターゲットとなる消費者が主婦であれば、
『甘みの強い〇〇トマトは子供も喜ぶ!栄養素も豊富で夏バテ防止に一役買います』
というようなメッセージであればどうでしょう。
あくまでイメージなので、事実と異なる部分もあるかも知れませんが、家族の誰でも食べられることや体に良いこと、調理の汎用性が高いことなど価値を伝えるイメージで書いてみました。
しかし、書き直した例文のようにすれば、「子供にも旦那にも出せる何かないかな」「家に余ってる〇〇どうしよう」など、スーパーに何かしらの課題解決の為に来ている消費者様へのメッセージになります。
例がトマトなので、このような価値と価格の文章ですが、車や住宅など人生で多くない買い物では、事前にネットなどで相場や流行を調べていたり、消費者は動いているので、単に商品や貴社の紹介をしていても価値やコスト感が正確に伝わらず「自分にあった商品・企業か?」と思われるかも知れません。特に最終的に来店を頂き商談が必要な場合は来店頂けるだけの価値が伝わらなければ行こうという気持ちにさせることはできません。
まとめ
今回は、消費者目線を入れたPRというお話をしました。自社のサイトや店舗の雰囲気など実際に自分が消費者になったつもりで目を通すだけで、「問い合わせのボタンはどこだ?」「入り口のマットが汚くないか?」「業界では当たり前に通じる業界用語を、そのまま広告にも使っていないか?」など、意外な発見があるかも知れません。さらに言えば求められるものは日々変わっている場合もありますし、定番の味を変えないで欲しいというニーズの場合もあるでしょう。
それらを読み解くには色々な方法がありますが一つには「クチコミ」であったり「サイトの解析ツール」があります。
▼クチコミに関する記事『Googleマイビジネスの活用事例』はこちらから
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